本土決戦―幻の防衛作戦と米軍進攻計画 (光人社NF文庫)

本の前半は軍や基地の配置、政治的な体制の羅列がひたすら続いて読むのを諦めそうになったが、p97くらいからアメリカ軍の具体的な進行計画と実際に本土決戦に備えて準備していた兵士の話が出てきて一気に面白くなってくる。松代大本営の顛末も興味深かった。肝心の本土決戦の備えは、幹部不在で錬度の低い兵士、燃料、食料不足、メインの攻撃は特攻頼みの消耗戦という有様で、湾岸の防備も散々南方で打ち破られてきた水際作戦という愚策を採用しており、それまでの戦術から進歩が感じられず、成果も期待できない内容なのが残念だった。もはや意地と根性で作ったような決戦の作戦なので、実行されていれば日本の復興はここまで早くなかっただろうし、国家自体が無くなっていただろう。つくづく実行されなくて良かったと思うばかりである。後半に当時の兵士達の様子が証言により後半に細かく描かれているので、本土決戦の雰囲気がよりリアルに感じる事ができて読み応えがあった。