IDの秘密 (丸善ライブラリー―情報研シリーズ)

IDはコンピュータ化、クラウド化が進む現代社会に欠かせません。それは「同じ」と「違う」を識別し、効果的に関連づけて全体や部分を把握するのに必要だからです。その現代のさまざまな事象を楽しいコラムなどを交えて基礎から立体的に理解できる待望の入門書と言えます。私自身はシステム屋人生をクレジットカードの会員管理システムチームで始め、後にカード発行のサブシステム責任者を務めコードも書いたとかいう経験を持つのですが、非常に分かりやすくクレジットカードの会員番号の体系が解説されていて感心しました。このコード体系の考え方はデータベースマーケティングやデータ分析をする上でも非常に重要な概念です。「社員番号の秘密」など非常に分かりやすく身近であり、学籍番号や受験番号とはどう違うべきかの解説など驚かされることでしょう。そして、バーコードやRFIDといったID識別の仕組みの裏にあるそれぞれの意義、そしてまた、SKU（在庫管理単位）か個体識別かといったIDづけの意味合い、価値、使い道を鮮やかに解説されています。個別の単価、必要とする面積、読み取り距離などなど技術的要素とコード体系やそのコードの特性が面白く絡んでいることがよく分かるかと思います。データ分析の基礎として、表計算ソフトの使い方、グラフの見せ方とか以上に重要なことが身につくと確信しています。