第2版シュッツ相対論入門ハードカバー版

本書の原題は「A First Course in General Relativity 」で直訳すると「初めての一般相対論」。邦書名「相対論入門」は誤解を生じる。（特殊相対論は要約のみ）改訂：8/18ひと昔前は初めて相対論の本を読む場合、Pauli「相対性理論」(独語邦訳有今でも人気）が普通で、難解な本が好きな人はWeyl「空間・時間・物質」、邦書に拘るなら内山龍雄「一般相対性理論1978」だった。（日本では相対論は軽視されており邦書自体少なかった。理学部以外では大学の講義もなかった。他方、通俗書は多数の本があった。）本書はこれら3冊の本より易しく、Blackholeの発見により相対論が復活しGPSへの応用により身近になったために理系一般向けに著された教科書と思われる。内容は、Ch.1〜Ch.6：準備218頁（Ch.1特殊相対論の要約、Ch.2〜Ch.6Tensor解析）懇切丁寧＆分り易い。Ch.7〜Ch.8：一般相対論の基礎43頁（重力場の方程式が拍子抜けするほどあっさりと導入される。）分り易い。Ch.9〜Ch.12：一般相対論の応用227頁（天文学への応用）Ch.9重力波は懇切丁寧だが必ずしも分り易くない。無視して読み続けるとCh.10、11に至り再び分り易くなる。Ch.12は啓蒙書風。特徴は、1.長〜い「準備」の後で、淡泊な「基礎」、その後に長〜い「応用」（2009年発行と新しく「応用」には最新の話題がある。本書の中心は「応用」の各章にあると思われる。）Ch.1〜Ch.8（淡々とした説明）と、Ch.9〜Ch.12（Ch.9、Ch.12では最新の話題を熱い口調で語る）は別人が書いたかと思われる程、表現が異なる。2.豊富な練習問題。→本文の理解のために、ある程度、解く必要がある。3.原書は練習問題の解答が無いが本書には有り。4.各章末に文献リストがある。→単なる羅列でなく丁寧な解説もあり役に立つ他のレヴューアによると後半に誤訳があるそうで原書にするか迷いましたが、練習問題の解答がある本邦訳書を選んだ。練習問題を解かないと理解できない本と分り正解だった。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーAmazon.comのレヴューアによると相対論の文献を難易度に応じて5段階に分けると以下になり、それぞれのLevel毎にStanndardTextがあるとの事。（古典と邦書を追記。邦書は名著とは限りません。）洋書邦書Lwvel1・・・本書未調査（多数の本があると思われる）Level2・・・Hartle(未読）、Zee(未購入）、（Pauli未読）、（Weyl1922邦訳1972未読） （佐藤勝彦「相対性理論」未購入）Level3・・・Carrol「Spacetime and Geometry」(最高！）、MTW「Gravitation」(大著未読）（内山龍雄「一般相対性理論1978）Level4・・・R.M.Wald(未読）、Hawking・Ellis(挫折）（佐藤文隆・小玉英雄「一般相対性理論」未読、難解）Level5（物理雑誌の論文）Amazon.comの人気度の高さから本書はLevel1のStanndardTextと思われる。尚、初めての本としてLevel1の本を選ぶか、Level2の本を選ぶかは個人の自由。（Level3はGraduate向け）洋書に抵抗がないならAmazon.comで一番人気のZee「Einstein Gravity in a Nutshell」（Level2）を選んで挫折したら本書に乗り換えるのも一案。邦書はStandardTextではないので（つまり名著とは限らない）薦めませんが、佐藤勝彦「相対性理論」が人気があるようです。